「獺祭」 旭酒造訪問
- 投稿日:2016年 9月19日
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先日、日本酒の「獺祭」で有名な山口県の旭酒造さんにお伺いしました。
個人的には桜井社長さんの講演を聞くのは4回目ですが、新しい酒蔵や完成したばかりの直売所に行くのは初めて。今回も異業種の経営者と共に多くの学びを頂きました。
昨年5月に完成した新社屋は従来の3倍にあたる500万本の生産が可能。以前獺祭はその品薄感からショッピングセンターでも凄いプレミアがついて売られていました。
「モノを作る人間の本能として、欲しい人に届かないのはおかしい。断るのが仕事ではない。だからこの敷地に建てられる最大の建物を建てた」
というように、山口県で4番目に高い12階建ての建物は近隣集落に30名しか住んでいないという場所においては異彩を放っています。
日本酒業界は40年で1/3に縮小し、旭酒造も直前10年間は売上1/3になったといいます。そこから30年間で売上が40倍にもなりました。
その理由として、「杜氏がいない」「地元で売れない」「酒米が手に入らない」これらの逆境が今の「獺祭」を生んで旭酒造の躍進の理由と言われました。
地ビールブームに乗り地ビールレストランを仕掛けたものの3か月で撤退。経営が傾きかけたことから杜氏が辞め、仕方なく残った人間で作ったお酒が獺祭です。
麹造りや醪の仕込みを細かく数値化データ化し、年に一度の生産を温度管理で一年を通じて仕込みを行えるようにしました。
地元では相手にされないということで、東京に打って出、その後はパリやニューヨークにも進出して、その名は世界にも轟くようになってきました。
目の前にある直売所は、東京オリンピック新国立競技場デザインの隈研吾さんの設計です。
築100年の古民家をリフォームした直売所は以前は駄菓子屋だったそうです。日本酒をイメージし光が透ける壁や梁、柱には米ですいた和紙を貼っています。総工費はなんと1億3千万!
「今ある建物を素材に生かし、さらに磨きに磨くことを考えた。素材の純粋さを活かすのは獺祭にも通じる」
隈研吾さんの言葉ですが、まさしく「素材を活かす」という点ではお酒造りもリフォームも通じるものがあります。
帰りには獺祭を頂いたり、新商品の「ライスミルク」を頂いたりと、ホスピタリティ溢れるおもてなしに感謝いたします。