No.498 広島市安佐北区 T様邸 戸建住宅全面リフォーム事例

土砂災害後のリフォーム

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2014年8月20日の未明に広島市安佐南区や安佐北区を襲った大規模な土砂災害により、T様邸は団地の中で最も深刻な被害を受けた。大きな丸太が窓ガラスを破り1階は床上浸水に。膝上まで押し寄せた水が引いた後は、あらゆるものが泥まみれの状態だった。幸い家の躯体に大きな被害が無かったため建て替えではなくリフォームを決意。被災したT様邸はどのようにしてリフォームを遂げたのだろうか......。


 2014年8月20日の未明、広島市安佐南区と安佐北区を襲った未曾有の豪雨による土砂災害。安佐北区に暮らすT様ご家族は、不幸にもこの土砂災害で被災した。
前日の深夜11時頃から激しい雷に不安を感じながら寝ずにいたT様だったが、日付が変わって午前2時30分。カーテンのかかった窓の方向をじっと見つめていた愛猫の様子が気になり、奥様がふとカーテンを開けてみると目の前にはすでに濁流が。直後に大きな丸太が窓ガラスを割り、室内に水が押し寄せたため玄関のドアを開けて水を排出。ご主人は2階に奥様とお祖母様を避難させたが、夜が明けて目にした惨状に呆然としたという。
翌日より、三次から駆け付けたボランティアの手を借りて復旧が始まったが、不幸中の幸いか、家の駆体には大きな被害が無かったことから、リフォームでわが家を再建することを決めた。マエダハウジングに依頼したのは、HP冒頭で社長が水害の被災者に対していち早く心を寄せたコメントを掲載したのを見たからだった。

 リビングが狭い、部屋の中にあった階段の位置を変えたいなど、家の悩みを以前から抱えていたT様。家の再建にあたり、こうした悩みもリフォームで解決できればと考えて同社に相談。10月10日に現場調査を行い、リフォームが可能と判断された後にプランニングをスタート。要望としては、日当たりの良い東側に増築してリビングを広く、寝るだけの和室は西側に配置、壁は珪藻土塗りに、床には無垢材を、といったことを挙げた。自然素材の採用は、同社ショールームで見て憧れたことがきっかけ。また、体格の良いご主人にとって以前の浴槽は小さく、体操座りの姿勢で入浴していたため、「できるだけ広いお風呂に」というご主人の要望も取り入れられた。

 外の濁流に気付いてからほんの10分ほどで家の中まで水が押し寄せてきたというT様邸。同じ団地内でも床下浸水の被害を受けた世帯は何軒かあったが、地形によるものなのか、T様邸の被害は団地の中で最も深刻だったという。大切にしていた車をはじめ、多くの家財道具があっという間に流されてしまい、家族の思い出の写真を収めたアルバムも水に漬かってしまったそうだ。「マッサージチェアや冷蔵庫など、なんとか流されまいと家財を手や足で押さえたりしていましたが、耐えきれなくなって押し流されてしまいました。水の力って本当にすごいし、自然の脅威を実感しました」とご主人。
 2階は大きな被害から免れたものの、1階は全面が床上浸水に遭い、膝上まで押し寄せた水が引いた後はあらゆるものが泥まみれの状態。T様が呆然としたのも無理のないことだった。とても生活ができる家の状態ではなかったため、被災後は近くに暮らす娘さんの家に身を寄せ、リフォームが完成するまで同居することにした。


 被災した家は構造部を残して解体し、床下の消毒や防アリ作業などを行った後、柱や梁を補強して安全性を向上。断熱材もしっかり入れた。
 まず1階は、完全に仕切られて不便かつ狭く感じていたリビングとダイニングキッチンを、日当たりの良い東側の増築と和室の移動で明るく広い空間に。増築部分には段差を設け、訪ねてくるお孫さんが伸び伸びと遊べる空間にした。リビング階段は廊下に移動し、階段下を収納に活用。圧迫感があって風通しも良くなかった和室は、2面が出窓で開放的なダイニングキッチンのあった位置に配置した。お祖母様が過ごす2階は、クロス貼り替えと畳を一新。キッチンのペンダントライトや飾り棚の材の色などは、近くに暮らす娘さんの意見も取り入れた。

 被災した家の安全性を高めた上で、抱えていた家の悩みもリフォームで解決したT様ご家族。明るく広く、機能的に生まれ変わったLDKは、娘さんとお孫さんにとっても心地よさがうれしい空間。「リビングとお風呂が広くなったのがうれしいですね」とご主人。奥様は新しい和室がお気に入りの様子。90歳を超えるお祖母様は、「長く生きてきた中で水害は初めて。もう二度とあんな目に遭うのは嫌です」と振り返りつつ、家族3人で暮らす家がリフォームで無事に再建できたことに胸をなで下ろす。大きな被害を受けたが、家の再建で明るさを取り戻したT様ご家族。これからも仲良く、力強く歩んでいってくれるに違いない。

リフォーム後

増築部分の壁に開閉できる横長の窓を開口し、風通しにも配慮。テレビの上にはお孫さんたちの写真を飾る棚を設けた 対面型キッチンの前にカウンターを設け、家族3人がここで食事できるようにした。こうすると配膳もかなりスムーズ
奥に収納スペースを確保し、便器も新しくしたトイレ 奥に収納スペースを確保し、便器も新しくしたトイレ
ショールームでご主人が浴槽に入って選択した浴室 玄関ホールも珪藻土壁と無垢材フローリングに
位置を変えた和室。和を感じさせる窓の格子は、ペアガラス窓の内部に入れることでホコリが格子にたまることも防げる 濁流の爪痕が色濃く残っていた外壁は、白く塗装し直して美しく生まれ変わった。2階のベランダは、被害がなかったため既存のまま使えた

リフォーム概要

リフォーム費用 約1200万円
種類 戸建て
築年数 34年
施工面積 70㎡(21.18坪)
施工箇所 全面
工事期間 3ヶ月
家族構成 母+夫婦
施工 マエダハウジング

リフォームを終えて

被災した家のリフォームをマエダハウジングさんにお願いしましたが、要望を言いやすく、信頼感もあったのでお任せして決めた部分も多くありました。災害を乗り越え、安心して暮らせる快適な家になり、ボランティアの皆さん同様に感謝しています。エコポイントの利用など、あまり把握していなかった私たちに代わって手続きをしてもらえたこともありがたかったです。