No.144 安芸郡熊野町 S様邸 戸建住宅全面リフォーム事例

実家&二世帯リフォーム

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経済的なことや住みやすさを考えて"実家"を住み継ぐ人が増えてきている中、
ライフスタイルの変化や経年劣化により、
思い切って全面改装や二世帯リフォームに踏み切ったケースをご紹介。
最終的な目標は、お金と住まいの悩みを解決するだけでなく、
家族全員が笑顔で暮らせる家の実現にあるようだ。

古き良き日本建築と新発想が融合した古民家風リフォーム

結婚を機に、ご主人のご両親から引き継いだ家を全面改装したSさん夫妻。工事中に奥さまが出産されたこともあり、愛着あるこの家での新生活は、新しい家族を迎えるカタチとなった。
釘などを使わない伝統的日本建築で建てられたこの家屋は、築40年以上経つ。このような伝統的軸組工法ができる職人は少なくなり、現在においては建てることさえ難しい。そんな文化財とも言える家屋の良さを生かしつつ、築年数の経った家の弱点である耐震と断熱を施し、赤ちゃんも安心して暮らせる住まいへと変貌を遂げた。
施工を行ったマエダハウジングがまず目を付けたのは、吹き抜け部分の梁。設計担当者は天井内部に隠されていた梁を見た瞬間「絶対これを表に出さなきゃいけない」と思ったそうだ。「現代風に梁を出してもらいたい」というご主人の要望と重なり、立派な梁が日の目を見ることに。明るく開放的に生まれ変わったリビングは、ナラの無垢フローリングや漆喰壁、照明の陰影、ご主人が見立てた家具などが、温かみのあるナチュラルな空間を演出している。それらと共に、先代の歴史を刻んできた家そのものが、ニューファミリーの団欒を優しく見守っているようである。

リフォーム前

築42年の風格。母屋との段差も大きくあった 暗くて狭いキッチンを明るく対面型に
スッキリと節水型に変更 天井を撤去して広く明るくします
広くて立派な玄関だが段差が大きい 洗濯機と離れて使い勝手が悪く寒い洗面室
狭くて暗く感じるこの和室を寝室に この家のシンボルである欄間を再利用したい
ちょっと狭くてひんやりするお風呂を広くしたい 部屋のあちこちに段差が...これをできるだけ解消
42年間この家を支えた立派な梁と小舞壁が見えます。耐震補強を計画 住宅診断で小屋裏をチェック。雨漏りや構造材の状況をチェック

見取り図

リフォーム中

梁は材木そのものの色合いを生かすため、クリアの自然塗料を施したのみ。吹き抜けに一際存在感を放っている
まずは床壁天井を撤去。まるでビフォーアフターみたいです 立派な梁が出てきました。土壁が歴史を物語ります
床下にもしっかりと断熱材を 大引が白ありに食べられています。もちろん交換します
小舞壁のため筋交いが入らないところは耐震ボードで補強 さや管ヘッダーで樹脂配管します
細かい収納ができるように造作 すきま風で寒かった縁側もペアガラスの大型サッシで開放感と断熱をしっかりと

冬は寒い地域のため、じんわりと温めてくれる蓄熱暖房機を採用。模様替えに対応できるよう、ダイニングの照明は角度が90度回るタイプのものを使用している

古き良き日本家屋に、異国の発想が上手く融合

ご主人のイメージが具体的だったので、スムーズに進んだという間取りのプランニング。小分けされた部屋数を減らし、広々としたLDKと主寝室を設けた。廊下の一部も無くし、洋室も広く取っている。ポイントは、家の中心部に位置するウッドデッキスペース。ここから明るい光が四方へ降り注ぐようになり、和室以外がこのスペースと繋がっているため、風と人の動きにも回遊性が生まれた。
また、洗濯機のある洗面所と勝手口、キッチンがほぼ一直線上にあり、家事動線が考慮されている。ダイニング・キッチンは使い勝手の良い対面型を採用し、トイレも来客用と家族用を設置。主寝室と洗面所が収納スペースを経由し行き来できるという面白い間取りは、欧米スタイルを真似たのだとか。古き良き日本家屋に、異国の発想が上手く融合している。
比較的インテリアコーディネートに時間を掛けたというSさん夫妻。築年数の経った日本家屋の特徴とも言える、適材適所の材木を生かすため、家全体はシンプルな北欧テイストで統一。家族しか入らないような主寝室やウォークインクローゼット、子ども部屋となる洋室には個性的な壁紙を選ぶなど、Sさんの遊び心がうかがえる。さらに、キッチンや玄関、勝手口の足元には色とりどりのタイルを敷いており、一際目を引き、Sさん夫妻のインテリアへのこだわりが随所に散りばめられていた。


リフォーム後

素足が気持ちいい無垢フローリングは、家の規模に合わせて幅広の130mmを採用 手の込んだ職人の技が残る
手を加えていない離れの長い軒下には、垂木を支える大きな梁が存在感を放つ 外壁には漆喰が塗り直された。玄関まわりには石畳が敷かれ、上品な佇まいに
ベッドを付けた壁側に空間を確保し、間接照明を設置。モダンなクロスが一味違った雰囲気に。壁には珪藻土を採用し、快適な環境に 構造上取れない柱を生かし、ディスプレイコーナーを提案したことで奥行きが生まれた。床のタイルの配置はSさんとコーディネーターの合作
使い勝手の良い収納スペースは、主寝室と洗面所の通り道となっている 収納スペースと同じクロスを採用した、大容量のウォークインクローゼット
特注のサッシを設けたウッドデッキスペース。光を通す透明のガラスを採用。「子どもの遊び場として使いたい」とご主人 写真やアクセサリーを飾れるように額縁柄のクロスを採用。以前サッシだった部分を出窓に変更
2つの子ども部屋いずれもウッドデッキスペースと繋がっている。こちらの部屋にも出窓を設けた 梁と柱の接合部分。枠に合わせてサッシもサイズ調整をしている
場所により太さの違う梁に対し、柱の高さが調整されている。当時の技術の高さを証明している 水まわりのフロアはテラコッタ調で統一。洗濯は井戸水を活用することも可能
家族みんなで入ることができるサイズのお風呂は、もう一つのコミュニケーションの場に すっきり清潔な印象の来客用トイレ。手洗いボウルは家族用のトイレとおそろいのものを採用
縁側兼、広々としたホールはそのまま活用。もともとの床下の高さを解消するため新たに一段設け、メタルタッチな石畳を敷いた玄関 ブルーとオレンジのタイルを敷いた勝手口。洗濯物やゴミの出し入れがスムーズになった

一見、何気なく創り出されたウッドデッキスペース。伝統技法で建てられた、この家屋だからこそ出来た工夫がある。
以前は、左右から長い軒が天井を覆い光が入らず暗い部屋だったそう。その軒を短く切断し、ポリカーボネートという半透明の素材の天井をはめ込み、採光を改善。長く伸びる丸太の梁と柱が屋根をしっかりと支えているので、可能となった。しかし、施工業者にそれを見極める眼力と、経験がなければ成し得ることのできなかった改修工事と言える。「比べものにならないほど明るくなりました。思い出の詰まった家が蘇ったようです」とご主人。大切に住み継いでいくというSさんご家族の思いと、マエダハウジングの技が織り成す、見事な古民家風リフォームを目の当たりにした。


リフォーム概要

概要画像
リフォーム費用 2500万円
種類 戸建
築年数 42年
施工面積 169.95㎡(51.5坪)
施工箇所 全面
工事期間 4ヵ月
家族構成 夫婦+子ども1人
施工 マエダハウジング府中店

リフォームを終えて

両親から受け継いだ大切な家なので、立て替えてしまうのではなく、この家の良さを生かした古民家風リフォームが希望でした。築年数も経っており、暗くて寒い家でしたから、とても子育てできる環境ではありませんでしたが、マエダハウジングさんには私たちの意向に沿った提案をたくさんしていただきました。家の中に光を入れるためとはいえ、屋根を切るなどの大胆な発想はとくに驚きました。でも、そのおかげで見違える程に安心して暮らせる家になりました。インテリアコーディネートにはこだわった方なので、最後まで付き合っていただき感謝しています。