No.1011 リノベーションモデルハウス「三入の家」 戸建全面リフォーム事例

戸建て耐震・断熱性能向上リノベーションの「現場に密着!」

Step 1 コンセプト


築31年の木造住宅を、震度6強の地震でも倒壊せず、冬場の室内温度が13度を下回らない家にリノベーションした「三入の家」。耐震と断熱の性能向上を図るためのリノベーションで、新築以上の性能を実現したコンセプトモデルハウスだ。これは既存住宅の性能向上につなげるための取り組みの1つで、マエダハウジングと耐震・断熱性能の高い窓やサッシなどの製品を扱うYKK AP株式会社が協力してこのリノベーションが実現した。
耐震意識が国内ワースト1位ともいわれる広島県だが、地震被害の危険はゼロではない。また、室内の寒暖差に起因するヒートショック防止への意識も、比較的温暖な地域のため低く、優れた住宅性能を求める傾向がそれほど高くはないのが実情だ。そうした広島県民の住宅に対する意識を変え、新築や建て替え以外の選択肢としてリノベーションで既存住宅の性能を向上し、同時に良質なストック住宅の普及を後押しし、空き家問題や環境問題の解決に少しでも貢献したいというマエダハウジングの思いが、このリノベーションの根底にあった。

リノベーション前

1989年築の瓦葺き木造住宅を新築以上の性能にまで高めた、リノベーション現場の過程に密着。 LDKが狭く、収納が少ない。
南側に窓が少なく、ダイニングが暗い。 北側の和室は日差しが入らず欄間からすきま風が吹く。
階段が急こう配できつい。 風呂のタイルは冬は寒く、大きな窓から熱が逃げる。
玄関に収納が少なく、段差が大きい。

Step 2 プランニング

高気密高断熱の快適な住空間と高耐震の安全性を併せ持ったリノベーションモデルハウス


1階は2間続きの和室、リビングとダイニングキッチンという使い勝手の悪い間取りだったため、柱と基礎のみ残したスケルトンリノベーションで大幅に間取り変更。廊下や広縁、2室の和室をなくして広いLDKと隣に書斎、寝室を配置し、リビング〜キッチン〜寝室が一直線につながるスムーズな動線を描いた。玄関と洗面室、トイレを拡大し、寝室の中には大容量のウォークインクロゼットを確保した。2階は階段の位置を変更し、広い洋室とウォークインクロゼット、トイレを配置。洋室は子ども室などを想定し、仕切って2室扱いできるようドアを2つ設けた。
耐震性能向上のため、筋交い補強や構造用金物を施し、構造部分から耐震を補強。リビングのサッシ部分には、大きく開口を取りつつ耐力壁にできるYKK AP「フレームⅡ」を採用した。断熱性能向上においては、全ての壁面に板状の断熱材「カネライトフォーム」を敷き詰め、上から吹き付け断熱材「アクアフォーム」を施工。窓はトリプルガラス樹脂サッシにした。





Planning Point

急な階段や寒いタイル張りの浴室、大きい段差の玄関など、今後長く暮らすには安全性や快適性において不安が残る築31年の木造住宅をリノベーション。大がかりな間取り変更や高性能な建材の採用を伴った施工を行った。



耐震性の向上を目指し、筋交い補強や構造用金物を必要な場所に施工。家全体の断熱性を高めるため、板状の断熱材を敷き詰めた上から吹き付け断熱材を、壁だけでなく天井や床にも施工している。



Step 3 完成


耐震性と断熱性を大きく高め将来に渡って安心して暮らせる高性能住宅をリノベで実現


リビングの上部は吹き抜けにし、エアコン1台で家全体を温度調整できる構造。屋内の隅々まで温度ムラがなく冷暖房効果が行き渡るのは、家全体の断熱性能が高いからこそといえる。リビングの大開口部分に耐震フレームを採用することで、大開口による開放感と耐震性を両立した。窓は高性能トリプルガラス樹脂サッシAPW430にし、窓面から外気の熱が屋内に伝わらないようにしている。
建材にもこだわり、1階は床にナラの無垢材、壁に調湿や抗菌作用を持つ漆喰など自然素材を多用。柱やキッチンカウンターの天板はスギ、腰壁はシナベニヤなど、木の温もりが伝わる内装が心地良さを生んでいる。
リノベーションが完成した「三入の家」は、耐震等級3の強度を備えた家に。高い断熱性も備え、冬の室内温度は13度を下回ることがない。冷暖房の消費エネルギーは、工事前に比べて56%削減できるなど、住む人の安心安全と快適性、光熱費削減を実現した。現在、モデルルームとして見学を受け付けている。


リノベーション後


マエダハウジングの技術の粋を集めたリノベーションモデルハウス「三入の家」。 吹き抜けとリビング階段が空間に広がりを生むLDK。吹き抜けを通じて気流が起き、屋内全体を快適に維持。構造的に必要な支えを壁でなく筋交いにし、開放感を創出。
手前にリビングダイニングとキッチン、奥に主寝室を配置した開放的な仕上がり。 和室と広縁を取り込んで創出した主寝室。トイレの近くに配置。
壁付きから対面型へと大きく位置を変更したキッチン。 玄関は土間と壁を炭入りのモルタルで塗り、窓を大きく開口。
2階渡り廊下は床を格子組みにすることで窓からの明るさを1階のリビングまで最大限取り込める。バルコニーからはレッドシダーの格子越しに朝日が差し込む。 1階のトイレは将来奥の壁をなくせば寝室と直接行き来可能に。




耐震 耐震等級3

震度6強の地震でも倒壊しない、耐震等級3相当の強度まで耐震性を高めるため、筋交いや構造用金物を適切に施して構造部分から耐震補強を実施。耐震の弱点とされる窓も、耐震フレームと窓を組み合わせたYKK APのフレームⅡを採用し、開口部を生かしつつ耐震性を向上。

断熱 UA値 0.41

住まいの中で熱の流出入が最も大きい全ての窓に、YKK APの高性能トリプルガラス樹脂窓APW 430を採用。断熱材はカネライトフォームの上からアクアフォームを吹き付けて気密性を高めるなどして、冬場でもエアコン1台で室内温度が13度を下回らない家に。省エネ性能の高さを示すUA値は0.41で北海道並みの断熱レベルを実現しているため、光熱費削減にもつながる。

省エネ(BELS)

国土交通省が推し進める長期優良住宅化リフォーム推進事業において、三入の家は「高度省エネルギー型」として認定。劣化対策、維持管理、耐震性向上に加え、気密性もアップするなど、高い省エネ性能を誇る。シミュレーションでは、築30年のリノベーション前と後で冷暖房費 年間56%削減との結果が出ている。

劣化対策 劣化対策等級3

屋根と断熱材の間を空気が移動するとともに湿気を逃がし、屋根の熱を屋内に直接伝えないなどのメリットがある「屋根通気工法」や、地面からの湿気が床下から上がってこないよう基礎工事には防湿コンクリートを採用。土間の一部には断熱材のカネライトフォームを埋設するなど、3世代(75~90年)長持ちする対策をとっている。


リフォーム概要

種類 戸建て
築年数 約31年
施工面積

131.84㎡(40.0坪)

施工箇所 全面
工事期間 6カ月
施工 マエダハウジング