No.099 東広島市 K様邸 実家&二世帯リフォーム事例

実家の離れがまるで"注文住宅"に。二世帯リフォーム

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実家の敷地内にあった大きな「蔵」を家族4人が心地よく過ごせる生活空間に再生。蔵らしさを生かした挑戦的リフォームに迫った。
農家を営み、純和風の家で生活していたKさん一家。ここはご主人の実家で、当初は少し離れた場所に新築の家を建てることも検討していたが、「やはりこの家を守らなければ」というご主人の使命感で、この敷地内で家族が快適に暮らせる生活空間を叶えることに。考えた末、母屋と離れの間に位置し、実質的には使われていなかった大きな蔵を、現在のライフスタイルに合うよう再生することを決意した。蔵も家も、大正時代初期に建てられたもので、築年数はおよそ80年。このリフォームをどこに依頼しようかと考えていたところ、本誌掲載のリフォーム事例を目にしてマエダハウジングに相談。ベテランスタッフでもこれまで手がけたことのない蔵の再生であり、このリフォームは同社にとっても大きな挑戦となった。家族4人が心地よく暮らせ、子どもたちが独立した後は夫婦二人の終の棲家になるよう、コンパクトで機能的な住まいをイメージしてリフォームはスタートした。

リフォーム前


リフォーム中


見取り図

1階にLDKとトイレ、洗面台、2階に寝室として使う和室とウォークインクローゼットを配置。浴室や収納スペースは従来通り母屋を活用し、ここには必要最低限の設備を整えた。採光や吸排気への対処など、蔵ならではの配慮も随所になされ、地面に対して壁が垂直でなかった部分は経験豊富な大工が修正を施した。

蔵を再生するにあたり、最初に夫婦が望んだのは、2階をロフト仕様にし、真っ暗な屋内を明るくすることと、重厚な梁を生かしつつ現代風の内装に仕上げること。具体的なプランは持っていなかったが、母屋とは対照的なモダンな雰囲気にしたいと考え、雑誌の切り抜きを担当者に見せながらプランニングを少しずつ行っていった。まずは、開口部の少ない蔵ならではの悩みを解決すべく、天井に開口部を設け、自然光が取り入れられるように設計。加えて、基礎部分が石でできており、床下の湿気が逃げにくかったことから換気扇を設置。屋内の気密性を高めたこともあり、換気のための吸気口を床に設け、外へ排気できるようにした。黒いクロスで引き締まった空間に見えるLDKや洗面所にはモザイクタイルが効果的に貼られ、夫婦の望んだ和モダン空間が広がっている。奥さまが「自分専用が欲しかった」というキッチンは、作業もしやすい総ステンレス製に。「暗かった蔵がこんなに素敵に変わるなんて!」と喜ぶKさん一家が、この蔵に新たな歴史を刻んでいく。


リフォーム後

リビング部分の天井が低い分落ち着きが感じられる一方、梁を露出させた側は開放感たっぷり 和モダンな雰囲気で統一された空間。スポットライトやダウンライトなど照明も効果的に配置
自然光を取り入れるために開閉可能な天窓を開口。ファンを回せば屋内の空気が循環 洗面台に置かれた手洗いボウルは、ご主人の要望でシックな黒いガラス製をセレクト
広いシンクの中段にステンレス板をはめられる設計で、洗った野菜や食器を水切りのために置いておくこともできて実に便利 80年超の蔵の歴史を今に伝える見事な梁が存在感を示す2階の和室。朝は天窓からの自然光が降り注いで明るく、気持ちよく目覚めることができる
数々のショールームを見て回った結果、奥さまの好みにマッチしたのがTOYOキッチン。床との間に空間をもたせたエアーフロータイプで、カビやダニを発生させにくい。表面はチタン仕上げ リフォーム以前は母屋のほぼ屋外にあった昔ながらのトイレは1階奥に新設。寒い冬も、これで快適なトイレタイムになりそう
入口と同様にハラコ調のカーペットを敷いたウォークインクローゼット。屋内でアクセント的な雰囲気を醸し出している

リフォーム概要

概要画像
施工費用 約880万円
家族構成 夫婦+子ども2人
種別 一戸建て
築年数 約80年
工期 3ヵ月
施工面積 66㎡(20坪)
リフォーム箇所 蔵全面
施工 マエダハウジング府中店

リフォームを終えて

「母屋とはガラリと変えたい」と思いつつも、最初は「本当にできるのかな?」と半信半疑でしたが、あんなに暗くてボロボロだった蔵がここまできれいに生まれ変わるとは思っていませんでした。子どもたちは無垢材が気持ちいいのか、いつの間にか靴下を脱いでいることが多いですね。キッチンは当初アイランド型をイメージしたものの、相談の末、壁付きタイプにしましたがこれが大正解。孤立感もなく、スペースを有効に使えました。ほぼノープランの状態からいろいろ提案をしてもらえ、楽しみながらリフォームができました。