日経新聞 「アパートバブル終息」
- 投稿日:2017年 10月22日
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「アパートバブル終息?」
昨日の日経新聞の記事です。
「アパートバブルに終息の兆しが強まっている。相続税対策と低金利を背景に貸家の新設着工は2年近く高い伸びが続いたが、このところ3カ月連続で減少。地方では空室が埋まらず、一定期間の無料貸しを売り物にする物件さえある。貸出先に困っている地銀はアパート融資に奔走してきたが、金融庁の監視強化で流れが変わりつつある」
国交省の調べでは新設着工戸数が6月から3か月連続で昨年同月を下回り、ついに「郊外エリアの需要がピークアウトした」とみられています。
2015年1月から相続税の改正を受けアパートの着工戸数が急激に増加しました。大手建築業者が一斉にアパート建築に乗り出し「相続税対策」と銘うってセミナーや相談会を行ったり、マイナス金利も後押しし、アパートバブルと言える状態になっていました。
昨年度アパートは43万戸供給され、アパート融資残高は22兆円と過去最高に達しています。そのうちの6割が地銀の融資であり、マイナス金利で収益が上がらない地銀も一斉にアパート融資に走りました。
先日の報道では一部の銀行で建築業者に紹介する代わりに手数料を取っていることも明らかになり、金融庁からも一連の行き過ぎた融資に対してついにお達しが出るまでになりました。
「アパートローンは持続可能ではない」
先週、金融庁首脳が地銀トップに明言したそうです。
空き家は2013年10月時点で過去最高の820万戸、13.5%になっていますが、このアパートバブルの現在、すでに1,000万戸に達しているのではないかと言われています。
「アパートは相続税対策になる」と言われていますが、実際は建ててすぐの時期だけであり10年、20年、30年と経つうちに相続税対策にならないことも最近では明らかになっています。
それ以上に怖いのが空室リスクです。
全戸数の1/5、1/4と空室になってくるとアパートローンの支払いができなくなる可能性もあります。また、10年、20年経つと外装や内装のメンテナンス費用も出ていきます。
これだけ家が余っている現在、自分のアパートが空室にならない保証はありません。不動産はやはり立地が強いのはいうまでもありません。今後はさらにその傾向が強くなるでしょう。
「30年一括借上げ」などのサブリースも、契約の見直しや家賃の減額交渉などですでにいろいろなところで問題提起されています。
先日、ある金融機関の理事長とお話しする機会がありましたが、すでに先月あたりからアパート融資の見直しを実施していると言われていました。
人口減少が加速する地方では、この問題はさらに深刻になるでしょう。過去「バブル」と言われることが何度かありました。
皆が一斉に向かうと何も疑問に感じなくなってしまうのでしょうか。果たして今回も泡となってしまうのでしょうか。
持続可能な社会にするためにも、ぜひ大切なことを、長期視点に立って考えていきたいですね。